2023/2/22

相続承認・放棄等考察

現代の日本において相続は、承認も放棄も自由です。
 
戦前は、家制度を守るため、長男などの家督相続人は家のあとつぎであって、家を承継する権利だけでなく義務もありました。すなわち、限定承認はできるが、相続の放棄はできませんでした。ただし、「親の借金は子の借金」という観念が強くあまり限定承認の利用はなかったようです。ここで、単純承認と限定承認及び相続放棄について簡単に述べます。
 
 単純承認:
相続の基本は単純承認です。相続の開始があったことを知った時から3か月以内に限定承認もしくは相続放棄をしないと単純承認をしたものとみなされます。単純にプラスの財産(資産)もマイナスの財産(債務)も引き受けることになります。結果、相続債権者から元々所有する固有財産にも差押え等の処分を受ける場合があります。なお、利用者は少ないですが、民法には、相続財産と固有財産が混合することを防止する相続債権者・相続人の債権者からの家庭裁判所への財産分離の請求という制度があります。
 
 限定承認:
この制度は日本においてあまり利用されていません。イギリスにおいて採用されている制度で、相続財産は財産管理人が清算を行います。プラスの相続財産の限度において被相続人の債務を弁済する制度です。ただし、共同相続人が全員で行う必要があります。一人が単純承認をすると他は限定承認することはできませんが、相続放棄はできます。相続債権者から元々の固有財産に対する追求はされません。財産目録作成など煩雑であるため、日本では採用が少ない制度です。
 
 相続放棄:
マイナスの相続財産を承継したくない相続人や、遺産をもらうことをいさぎよしとしない相続人に利用されることを考えて作られた法律ですが、原状は、農家や商店経営者などに経営資源の分散を防ぐ目的で利用されていることが多いようです。限定承認のように財産目録作成の必要はなく、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述することによって行います。共同相続の場合でも単独で行うことができます。日本では、限定承認よりも相続放棄の方が多く利用されています。